イギリス海岸は花巻駅から東へ約2`、北上川と猿ヶ石川の合流点から南にかけての北上川右岸に位置し、宮沢賢治の短編「イギリス海岸」の舞台として描かれたほか、「銀河鉄道の夜」ではプリオシン海岸のモデルとして登場するなど、多くの作品に影響を与えた場所として知られています。
泥岩層が露出している様子がイギリスのドーバー海峡に面した白い崖に似ていることから賢治が命名したもので、花巻農学校教員時代には生徒たちとこの地をよく訪れたそうです。
平成18年には国指定名勝「イーハトーブの風景地」(鞍掛山、狼森、七つ森、釜淵の滝、イギリス海岸、五輪峠、種山ヶ原)のひとつに指定され、毎年全国から多くの観光客が訪れていますが、現在では川底の侵食や、北上川の水位安定などによって、水面上に泥岩層が露出する機会が少なくなっています。
そうしたなか、平成19年から賢治の命日である9月21日に一日限定でイギリス海岸を出現させようという試みが行われています。これは、発電事業者等の全面的な協力のもと、国や県が管轄する五つのダム(四十四田ダム、御所ダム、田瀬ダム、綱取ダム、早池峰ダム)の放水量を抑え、川底の泥岩層が見えるようにするというものです。
過去4年間の試みでは降雨により川の水位が下がらなかった年もあるなど、当時の姿を完全に再現するまでにはいきませんでした。
今年も9月21日にイギリス海岸出現を目指した試みが予定されています。賢治が愛した当時のイギリス海岸の姿を今年こそはっきりと見てみたいものです。
(岩手経済研究2011年9月号で紹介)
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