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「のびのび育てられる子牛と健康な母牛」

高橋美奈子さん、秀春さん(北上市和賀町)

 

 北上市は、「いわてきたかみ牛」や「白ゆりポーク」など肉牛や肉豚業が盛んな地域です。
 今回取材させていただいたのは、北上市で8年前から黒毛和種の繁殖経営をされている高橋美奈子さん、秀春さんご夫妻です。
 高橋さんご夫妻は、繁殖雌牛を18頭飼養しており、牛飼いの他、美奈子さんは介護の仕事を、秀春さんは授精師の仕事をしています。
 また、高橋さんご夫妻には二人のお子さんがいて、休日には牛舎の清掃等を手伝うなど、家族全員で牛飼いをしています。

 

美奈子さんと秀春さん

 高橋さんご夫妻が、繁殖経営を始めるきっかけは、秀春さんのおじさんの勧めでした。
 秀春さんから「牛飼いをする」と、言われた美奈子さんは、牛飼いをしてい た祖母などから、生計を立てていくことの難しさを聞いていたため、安定した経営ができるのか、とても心配だったそうです。
 幼い頃から祖母の家で牛と触れ合っていた美奈子さんは、牛に対する抵抗はなく、体力面も介護の仕事をしていることもあり、不安はなかったそうです。

 牛飼いを始めた頃の美奈子さんは、愛情を込めて育ててきた子牛が、市場に出荷できるぐらいまで成長するにつれて、別れが辛く、とても寂しい気持ちになったそうです。
 秀春さんからは、「牛に情を入れるな」と、言われましたが、子牛に対して感情を入れないということは難しく、出荷したくないとの思いがなかなか消えなかったそうです。

 そんな思いで、牛飼いを始めて8年の歳月が経ちましたが、今でも出荷の際は、寂しい思いもありますが、元気に育っていってほしいという気持ちが勝っているそうです。
 また、お子さんと一緒に牛飼いをする喜びを感じることができるそうです。

美奈子さんに顔を近づける母牛

 そんな高橋さんご夫妻は、牛の衣食住にこだわりを持っています。
 一つ目の「衣」は、子牛の状態を観察し、時には“カウジャケット”を用いて、子牛の健康管理を行っています。
 健康状態の観察は、毎日の餌やりの時など、1頭1頭に声掛けをしながら、体調を把握しています。

 二つ目の「食」は、生まれてきた子牛に与える初乳です。
 母牛からの初乳だけでは、栄養に偏りがあり十分な免疫が得られない場合があるため、初乳製剤で補っています。
 初乳製剤は、注射器のような容器に入ったペースト状のものを与えています。
 粉ミルクタイプは哺乳瓶などで飲ませるため、吸う力が弱い子牛は、十分に補給できないことがあるため、子牛の口の中に直接押し込むことができるペースト状のものを使用しています。
 また、牛に欠かすことができない“水”にも特徴があります。
 近くを流れる沢水や水道水ではなく、井戸を掘って汲みあげた“地下水”を与えており、「夏は冷たく、冬はほのかに暖かい」そうです。

 
 三つ目の「住」は、牛舎の作りについてです。
 牛を岩手の冬の厳しい寒さから守るため、屋根の内側には断熱材を張っています。
 また、子牛がいつでも母乳を飲んだり餌を食べたりできるように、牛房の仕切りを取り払い、牛舎内をのびのび動き回ることで、「1頭1頭繋いで育てたときよりも子牛の成長が早く、大きくなりやすい」と、秀春さんは話していました。

断熱材が張られた屋根

自由に動き回る子牛

 

 このように、高橋さんご夫妻は、牛を愛し、日々の業務にこだわりを持って管理しています。 
 共働きのご夫妻にとって、毎日欠かさず牛の世話をすることはとても大変なことですが、家族一丸となって牛の世話をすることで家族の絆が強くなっていると感じているそうです。
 これからの目標は、「家族全員で助け合いながら繁殖雌牛を50頭まで増やし、牛飼いだけで生計を立てていくこと」とおっしゃっています。
 県内でも、近年、飼養頭数を拡大する生産者も増えてきていますが、高橋さんご夫妻のような生産者の頑張りが、全国有数の肉用牛生産の主産地を支えています。

 


[取材日]2016年9月23日 


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